〜陽が昇って少し暖かくなると、
奴らはぞろぞろと床下から出てくるが、
その数は最低でも二十匹は下らない〜
『床下の奴ら 庭付き・ネコ付き・一戸建て』
この家を建てた時に、どこからともなく迷い込んだ野良猫が床下に棲み着いた。
床下通気口に、格子の蓋をする前のことだったので、
目ざとく発見して、これ幸いと棲み着いたらしい。
そうなってしまった以上、通気口を塞いで閉じ込めてしまうわけにもいかず、
「出て行け」と言ってみても理解できないだろうと思い、
しょうがないのでそのままにしておいた。
そうしているうちに一匹、又一匹と次々が新顔が増え、
春先にはうちの庭で、
お互いをモフモフしながらじゃれ合う子猫たちまで産まれてくる始末であった。
陽が昇って少し暖かくなると、奴らはゾロゾロと床下から出てくるが、
その数は最低でも二十匹は下らない。
その中には、明らかに近所で飼われているとおぼしき、
首輪のついた猫もいるようで、どうやら我が家の床下は、
ここいらあたりの猫たちの社交場と化してしまったらしい。
床上に住む住人と、床下に住んでいる野良猫たちとのおもしろおかしい日常ストーリー♪
飼っているんじゃない、飼われているんじゃない。
そんな人間と猫との穏やかで、ユーモラスで、幸せなのに時々泣ける、ちょっと変わった共同生活。
『床下の奴ら 庭付き・ネコ付き・一戸建て』
1620円