本の街・千代田区神保町交差点にある姉川書店は
町の書店として30年近く安定経営していましたが、
2010年以降に始まった
出版不況、活字離れ、Amazonなどの大手通販サイトの台頭により、
取り寄せしても新刊や人気の書籍が入荷しにくくなり
一気に売上が降下し経営難に。
(*出版不況などの原因により書籍の発行部数が減り、
人気の書籍ほど大型書店や通販サイトに大量に流入されるため、
うちのような弱小書店には発売日に納品されず、数日または数週間遅れで納品。)
売る気はあるけど、発売日に人気の本が入ってこない。
取り寄せしても、人気の本が入ってこない。
新刊書店なのに、手に取りたい本が並んでいない。
パッと見、「売る気がない書店」
……まさにそんな感じの状態が何年が続いていました。。。
店内に人がなかなか入らず、
本が売れない状況が何年か続き、
書店の継続が厳しくなってきた頃、
姉川書店店主より
「お店はあと2年くらいで畳もうと思う。
書店を辞める前に、
売れても売れなくてもどっちでもいいから、
人が立ち止まってくれるような
面白い書棚を作って欲しい」
と頼まれ、
“新刊や話題の本に頼らなくてもいい書棚作り”
をテーマに書籍の実情を調査。
ヨガやオシャレな旅本、
MOMAなどの美術関係など、
当時流行っていたジャンルの書籍や関連商品等を調べて見るものの、
“思わず立ち止まってしまう”というインパクトには程遠く、
なかなか「これ!」というあたりもなく
調査→却下を繰り返しました。
流行っているし、人気もあるジャンルなのに、なぜインパクトに欠けるのか……
⇨すでに大型書店にそのコーナーが存在していたから。
そう、潰れそうな弱小書店が、
大型書店と同じことをしても意味がない、
ということに気付き、ニッチな方向で再検討。
それまでの調査の日々で
「企画する私が好きなジャンルじゃないと深掘りできない!」
ということにも気付いていたため、
今度は企画する私が大好きな領域……
アーユルヴェーダ、波動・量子力学、猫、で調査。
その中でダントツに書籍の種類が多かったのが「猫」に関するもので、
しかし実際の書店にはほぼ並んでいないという事実!?
(調査していたのは2012〜2013年)
「猫」で検索してヒットしたものを
片っ端から図書館で予約し、内容をチェック。
調べれば調べるほど秀逸な「猫」作品が多く、
しかも、映える表紙の猫本が多いことに感動。
さらに、
リアル店舗で猫本専門店は、当時は存在していなかったため
これは、めっちゃ高まる♡♡♡ということで、
「猫本屋」に決定。
入り口、入ってすぐの書棚4本を使い、
映える表紙の猫本を並べ
2013年6月
『猫本専門 神保町にゃんこ堂』をオープン。
猫本の中の猫たちが招き猫になってくれたのか、
2013年8月に「猫ブーム」が到来。
当時、猫に特化したお店が少なかったせいか、
たった4棚しかない猫本コーナーに取材が殺到し、
「にゃんこ堂」という名前が全国的に有名に。
売上が上がるたびに猫本コーナーを広げていき、
3年かけて店内全てを猫本に。
画家で漫画家の
くまくら珠美さんが描き下ろしてくださった
にゃんこ堂の看板にもなっている猫絵が話題となり、
出版社以外からのオファーも増え、
「猫=にゃんこ堂」という認識に。
「売れても売れなくてもどっちでもいい。
人が立ち止まってくれるような
面白い書棚を作って欲しい」
姉川書店・店主の望みから始まった
小さなプロジェクトでしたが
「猫本」はもちろん
たくさんの方々のご支援、ご協力のおかげで
潰れかけの書店から
9年間も延命!?することができました。
そして
猫イヤーと呼ばれる2022年
BSテレビ東京で、にゃんこ堂がミニドラマに。
これまでの感謝の気持ちを込めて
にゃんこ堂づくりの裏側を
こちらで公開していこうと思います🐾